「いや、色々だな。パンやケーキ、和菓子の売れ残りやハンバーガーショップの期限切れなんかもあるぜ」

「ハンバーガーの期限切れ?」

「作ってから一定の時間が過ぎたら、ポテトなんかも廃棄されるらしいぜ」

「そうなんですね。身をもってフードロスの勉強ができるってことですか」

それならコンビニの廃棄お弁当はここではごちそうだ。

「でも、栄養が偏りそう」

「まあ、売店でビタミン剤とかのサプリは売ってるけどな」

「でも、高いですよね。ここではお金を稼ぐことはできるんですか?」

「作業室で木工製品や革製品を作ったら出来高でお金が稼げるぜ。慣れにもよるけど時給で1000円ぐらいかな」

本格的に刑務所みたいだ。

「でも、気を付けろよ。ここでは1日ごとに施設使用料として1万円徴収されるからな」

訂正、刑務所よりひどかった。

「……聞きたくないけど、払えなくなったらどうなるの?」

「持ち金が0円より下になったらペナルティーとしてマイナス1000万が追加されて『アビス』に送られる」

「アビス……?」

アビスというのは確か奈落という意味の英語だったはずだ。

奈落……どう考えても悪いイメージしか湧いてこない。

「詳しいことはわからない。けど今のこのクラスが天国と思えるぐらいひどいことをされると言われている」

「ひどいこと?」

「噂だけど、前にアビスに落ちた奴が戻ってきたことがあるらしいんだ」

「アビスでもお金を稼げば戻ってくれるってこと?」

「お金を稼ぐなんて生易しいものじゃない。その戻ってきた奴は片目と内臓が一部抜かれていて、うんこを食べる動画とかを撮らされたらしいぜ」

まさしく自分の体と魂をお金に変えられている。

だからこそアビスに落ちないために真桑のような奴が新入りをだますようなこともやるんだろう。