おばあちゃんは黙って、私の頭を撫でた。
「おばあちゃん?」
「穂希。私はね、色々厳しいことも言っているけれど、お前に生きていてほしいんだ」
「……うん」
「代われるものなら、代わってやりたい……」
おばあちゃんの目から大粒の涙が落ちた。
「おばあちゃん……」
「いいかい、穂希。光くんはきっと、“くれない様”の仕業で死んでしまったと、私は思う」
「うん」
「私は穂希のために出来ることは協力するから……、だから……」
「大丈夫だよ、おばあちゃん」
「……えっ?」
私はおばあちゃんにティッシュの箱を差し出す。
「逃げ切れないとは思うけれど、うんと抵抗するつもりだから。だから、私は大丈夫。ちゃんと最後まで生きてみせる」
「……穂希っ」
「!!」
おばあちゃんが私を抱きしめた。
こんなふうに抱きしめられることは、今までの人生にあったのかわからないくらいに、珍しいことだった。