「それで?」
「それまでは何もなかった。ドンッて音が聞こえるまでは」
恵くんの声が震え始める。
「びっくりして、オレ、立ち上がったんだ。そしたら電気が点いた。希と顔を見合わせてから、『あの音、何?』って言いつつ、隣の部屋にいる光の様子を見に行ったら」
「光くんはいなかったんだね?」
「……うん」
おばあちゃんは横たわっている光くんを見た。
お母さんや、他の大人が光くんのそばにいる。
「その時、部屋に誰かがいることに気がついた」
「!」
「『誰っ!?』って声をかけると、ニヤニヤ笑ってから、走って部屋を出て行った。女の人だった」
「……!!」
「窓が開いていることに気づいて、下をのぞくと光が……!」
恵くんはおばあちゃんの腕を掴む。
「どうしよう、光は死なないよね!? オレが玄関の鍵を開けたままにしておいたから、変な人が入ってきて、光を……!」
恵くんは泣き出してしまった。
希ちゃんも顔をぐしょぐしょにして泣いている。