(『今は』って……)



「いいかい、須浜さん」
と言ったおばあちゃんの声が、震えていた。




「ウチだってみんな不安なんだ。一体いつ、“くれない様”がやって来るのかはわからない。その時が来たら……」



おばあちゃんの目から涙がこぼれる。



「……穂希は、死ぬ」



「!!」




全員が、私を見た。



「穂希は助からない。“くれない様”から無事に逃げた人間なんかいない。それもこれも、あんたのところの孫娘が、“くれない様”に祈ったからだ」

「……それは!」



琳音のおじいちゃんは、悲しそうな目でおばあちゃんを見る。



「須浜さん、私達だって怒ってるんだ。出来ることなら琳音ちゃんを探し出して、どうしてくれるんだ! と怒鳴り倒したいくらいに!!」

「……」

「だけどそんなことをしても、意味なんかない。わかるだろう? 琳音ちゃんは、どこへ行ったのかわからない。穂希は、これからどれだけ生きられるのかわからない」