大人達はみんな立ち上がり、大騒ぎになった。
ある人は私を指差して責め、ある人は私に迷惑そうな顔を向けている。
色んな人が。
恐怖と。
不安で。
凶器と化した言葉を使い、人を傷つけている。
「静かに!」
と、おばあちゃんが大声を出した。
大広間にいる全員が、おばあちゃんを見る。
「誰を責めても、もうこれは起こってしまったことなんだ。今、村が協力しなくてどうするんだ!」
「光本さん、あんたは穂希ちゃんがそばにいるから、そんなことが言えるんだ!」
琳音のおじいちゃんが吐き捨てるように言う。
「琳音が……、琳音がそばにいないことに……、どこに行ったのかわからないことに……、どれだけオレ達家族が不安な日々を過ごしているのか、あんたにはわからないんだ!」
おばあちゃんはため息を吐いて、こう言った。
「穂希は、確かに、今はここにいる」
私は思わずおばあちゃんを見てしまった。