「それは……」

「何だ? ハッキリ言いなさい!」



怒鳴られて、私の肩はビクッと震える。



「それは……、はじめは琳音と同じ方向で逃げていたんですけど、琳音があっち行けって言って……、私は回り道の、墓地のそばの出入り口へ逃げたんです」

「……えっ?」



村の大人達が琳音の家族を見る。



「二手に分かれたほうがいいんだって言われた……」
と、私が言い終わらない内に、
「また琳音のせいにするのね!」
と、琳音のお母さんが私を睨む。



「いっつもそうね! この間だって、口を開けば『琳音が』『琳音が』って……! 穂希ちゃんは琳音のせいにしてばかり!」



琳音のお母さんがそう言うと、琳音のおじいちゃんも頷く。



「“くれない様”に呪われたのは、穂希ちゃん、あんたなんだから! あんたのせいで村は迷惑しているんだ!」

「……お言葉を返すようですが」
と、お父さんが立ち上がった。



「穂希は被害者なんです。呪ったのも目覚めさせたのも、琳音ちゃんじゃないですか! 村が迷惑している原因を作ったのは、ウチの穂希じゃない」

「何だと!?」