「話し合いましょうよ、これからどうするのか」
村井のおじさんが少しムッとして言う。
六時半になり、集会が始まった。
大人達が現状を確認している。
「須浜さんのところの琳音ちゃんがどこに行ったのか探さないと。ずっと行方知れずじゃ可哀想だ」
「どこを向いて走っていたのか、それもわからないのか?」
「“くれない様”に捕まったところは見たんだろうか?」
大広間に沈黙がおりる。
ゆっくりと。
みんなの視線が、私に集まる。
「……穂希ちゃん、何か覚えていないか?」
「教えてくれるだけでいいんだ。何も責めているわけじゃないんだよ」
私はおばあちゃんを見た。
おばあちゃんは黙って頷く。
「あの日、“くれない様”から必死に逃げている時。雑木林の洞窟から川のそばの出入り口までの一本道を琳音は走って逃げたはずです」
琳音のおじいちゃんが、
「どういうことだ? 一緒に走って逃げたんじゃないのか?」
と、私に険しい目を向ける。