「奈緒子、よく聞きなさい」
と、おばあちゃんが厳しい声を出す。



「“くれない様”が目覚めたことが問題なんだ。張本人の琳音ちゃんが失踪していることも、大問題なんだよ」

「……?」

「村にとっては誰が目覚めさせたかなんて、正直どうでもいいんだ。目覚めさせること自体が禁忌なのだから」

「!」



おばあちゃんはため息を吐く。



「本当のことはさておき、みんな不安から誰かを責めたいんだよ」

「それが穂希だっていうの?」

「目覚めさせた時、そこにいたんだ。そして今、ここにいる」

「……っ」

「村の連中はいなくなった張本人より、そばにいて責めやすい穂希に矛先を向けるのさ」



私は背筋に冷たい汗が落ちていくのを感じていた。



「覚悟しなければいけないのは、穂希だけじゃない。浩二さんも、奈緒子も、きっと責められる。勿論私もね。これは我が家が直面している問題なんだ」

「僕は、僕自身が責められても構いません。穂希を助けたい」



ずっと黙って聞いていたお父さんが言った。

その言葉にお母さんも頷く。