「オレは気にしません」

「駿翔くんが気にしなくても、あんたのお母さんは? ご家族は? 村に引っ越してきて何年になるか知らないけれど、そんなことくらいわかるだろう?」

「……」

「それがこの村で暮らすってことなんだ」



「でも、穂希さんが心配なんです」



駿翔くんはまっすぐにおばあちゃんを見て、そう言ってくれた。



「その気持ちだけで結構。ウチとしてもあんたが関わることで、これ以上の心配事や不安を増やしたくないんだ。あんたに何かあっても、ウチは責任を取れない」

「……」

「私の言っていることはわかるね? 関わるなってことが」



おばあちゃんは私の腕を引っ張った。



「早く部屋に行くんだ! 誰よりも穂希、お前が危ないんだから!」



私は駿翔くんに向き直って、
「ごめんね、駿翔くん。ありがとう」
と、伝えた。



駿翔くんは私に向かって、
「また来る。また一緒に考えよう」
と言って、おばあちゃんにお辞儀して帰って行った。



(駿翔くん……)