赤い輪を持つ真っ赤な月が、ぽっかりと空に浮いている。 雑木林を抜けて。 私は墓地のそばの道端に倒れ込んだ。 スマートフォンがポケットから落ちる。 「……駿翔くん」 何かあれば連絡してきてって、駿翔くんは言っていた。 震える手で、スマートフォンを拾う。 「何をしているんだ?」 頭の上から声が聞こえた。 誰なのかを確認する前に。 私は気を失ってしまった。