「米子さん!!!」
私は米子さんの腕を掴もうとするけれど、米子さんは私からするりと離れて、駿翔くんに近づいた。
「えっ!?」
訳がわからない様子の駿翔くんの手元から、米子さんが何かを奪った。
「米子さん!?」
米子さんは、ライターを手に持っている。
「あれを見ろ!」
と、村井のおじさんが叫んだ。
振り返ると、琳音の肩のあたりから、着物を着た女性がすぅっと浮かび上がってくるところだった。
「あれが、あの人が、“くれない様”……!」
おばあちゃんの驚いた声がする。
私は米子さんを再び見て、
「米子さん、絶対に助けるから!」
と、声をかけた。
「穂希ちゃん、いいの。もう、いいのよ」
と、米子さんは嬉しそうに笑っている。
「!?」
どういうことなのかわからないでいると、米子さんはライターから火を出した。
「もう火は通用しないよ!」
と、駿翔くんが言う。
「そうね、だけど、私の体を燃やすことには使えるのよ!」
「!!!」