みんなを無視して、
「私、この人のことが欲しくなったわ」
と、“くれない様”が米子さんを見た。
「息子と同じ目をしているのよ。どうして今まで気づかなかったのかしら。あなたのことが欲しい」
“くれない様”の言葉を聞いた米子さんは、ニッコリ笑った。
「!?」
……違和感。
何かが、おかしい。
「あなたが欲しい……」
と、“くれない様”は米子さんを見つめる。
私はその時、ハッとした。
「米子さん、ダメ!!!」
「……あなたがいい。あなたが欲しい。ねぇ、いいでしょ?」
「答えないで!!!」
私の言葉を聞いて、米子さんは嬉しそうな笑顔を私に向けた。
「……あなたくれない?」
“くれない様”が質問をした!!
村の大人達も、駿翔くんも口を閉じる。
私も沈黙を守った。
……だけど。