「!!」
村の大人達がハッとする。
「答えたら最後、取り憑かれる! 黙って、沈黙するの!!」
全員が真剣な眼差しで頷いた。
赤い月に照らされて、みんなの顔が赤く、妖しく照らされている。
「余計なことを言わないで」
と、“くれない様”がさらに苛立つ。
「余計なこと? 真実よ!」
と、米子さんは言い返す。
「さぁ、明かりを!!」
米子さんの声かけに、村の大人達は手に持っていたらしい懐中電灯やらスマートフォンの明かりを、“くれない様”に当てた。
“くれない様”は顔をしかめる。
「うっとうしい!!」
イライラした顔を、私に向けた。
「全部、あなたのせいよ!!」
私のほうへ襲いかかってくる。
「穂希!!」
と、駿翔くんが庇ってくれるけれど、“くれない様”はそんな駿翔くんを強引に両手で押し倒し、私めがけてその手を伸ばす。
「よしなさい!!」
と、米子さんが近くまで走って来た。
その時。
私には見えた。
米子さんの手に持つ何かが、キラリと光った。