「違う!」
「違う? 本当に?」
「……」
“くれない様”はにんまり笑う。
「ほら、その顔。トキ子そっくりね。そうやって愛らしい顔の裏で、あなた達はひどいことを平気でするのよ」
「……!」
「何より気に食わないのは、寛太郎さんにもそっくりなことよ。あなたなんかに、寛太郎さんの面影を見たくないのに」
“くれない様”はそう言い捨てると、
「あなたを殺すことこそが、私の目的だったんだわ」
と、笑った。
「長い間、ずっと待っていた。復讐の時は今なんだわ」
「穂希に近づくな!」
と、駿翔くんが私を庇うように立つ。
「あぁ、本当に邪魔ね、あなた」
と、“くれない様”が苛立った。
「先に殺そうかしら」
「やめて! 琳音の体でそんなことしないで!!」
私が叫ぶと、“くれない様”はまたニヤニヤ笑う。
「これを見ろ!」
と、駿翔くんがライターの火をつけた。