「琳音は助ける!! 絶対に殺させない!!」
私がそう言うと、“くれない様”はケラケラと可笑しそうに笑い出した。
「本当にあなたを見ていると、イライラする。そうやって良い人ぶるところ、大嫌いよ」
「!」
「花村 トキ子が、その昔私に言ったの。『寛太郎さんのことは譲れないけれど、大事にしているこの櫛をあげる。前に欲しがっていたでしょう?』って」
「……」
「馬鹿にするのもいい加減にしてほしいわ! だから奪ってやった! だから殺してやった!! 寛太郎さんに二度と会えないように!!」
「……」
「あなた達は良い人なんかじゃない。良い人ぶっているだけよ! 本心はどう思っているんだか、わかったものじゃない」
「私は、違う。花村 トキ子とは違う!」
「いいえ、そっくりよ。私が知らないとでも思っているの? 知っているのよ。この、琳音とかいう子が好きな男を、あなたは奪っている」