雑木林の中。
“くれない様”は私のそばに来て、
「いらない、いらない、いらない……」
と、繰り返し呟いている。
「あなたが似ているから、大事にしようと思ったのに……、だけど、もういらない」
「私が、大橋の血を引いているから?」
「そうよ! もういらない! 似ているから、だから、あなたこそが一番殺したい相手なのよ!!」
ぷんっと何かが燃えたような臭いが辺りを包む。
それは“くれない様”が発している臭いだとわかる。
「火の車にして、殺してやる」
と、“くれない様”は言う。
「同じように、焼かれて死ねばいい! あはっ、あはははっ!」
恐ろしいことを言われているのに。
私はほとんど恐怖心がなくて。
「それだけ、つらかったんだよね?」
と、“くれない様”を見つめた。
「嫌われて、殺されて、“くれない様”はずっと孤独だった」
「わかったようなこと言わないで!」
「村が憎らしかった」
「黙って!!」