雑木林に入って。
私は洞窟までの道のりをひとり、歩く。
殺すとか、殺さないとか。
そんな物騒な話をしたくなかったし、聞きたくもなかった。
(どうして助ける方法を考えないの)
琳音はまだ、生きているのに。
あの子は。
希望の光なのに。
目から涙がこぼれて。
私は立ち止まり、俯いてしゃがんだ。
「琳音ぇ……」
私の泣き声が、雑木林に吸収されていくみたい。
ふと。
足元の影が。
濃くなった気がした。
もう夜だから。
辺りは真っ暗で。
何も見えないはずなのに。
なぜか。
足元の陰が。
はっきり見える……。
「……よくも」
と、声が聞こえた。
「!!」
顔を上げると、琳音が立っていた。
琳音の背後には真っ赤な輪を持つ、赤い月が見える。
「よくも、のこのことやって来たね」
鈴が鳴るような高い声。
「……“くれない様”!」