「……目覚めさせたからじゃないのか!」
と、原西のおばあちゃんが怒鳴った。
「穂希ちゃんだって、目覚めさせた! だからその罪を今、背負っているんじゃないか!」
「そんな、罪だなんて! 子どものやったことです!」
「子どもだからって、やっていいことと悪いことがある! それをわからない年でもないはずだよ、光本さん!!」
お父さんと原西のおばあちゃんが言い合っていて、それをおばあちゃんが止めに入った。
(あぁ、……無理だ)
私はこの場所に、これ以上居続けることは無理だ。
「穂希ちゃん!」
と、誰かに背後から呼ばれたけれど、私は走ってお寺から出て行った。
……琳音。
琳音に会いたい。
私はお寺から墓地に入り、真っ暗な雑木林の出入り口に向かった。
“くれない様”が憑いている状態でもいいから。
どうしても、琳音の顔を見たかった。
ただ、顔を見るだけで安心出来る気がした。