「えぇ、あなたの気持ちが固いのはもうわかったけれど」
と言って、米子さんは原西のおばあちゃんを見た。
「私の意見に賛成する声もあることを、忘れないで」
「……オレも、賛成する!」
と、ひとりが言った。
「もうこれ以上“くれない様”に怯えつつ暮らすなんて、耐えられない!」
「そうよ! 子ども達だって危険だわ!」
「村の子どもを守らなくちゃいけない! 村の未来を、オレ達で守るんだ!」
大人達が手を挙げて賛成していく様を、私は信じられない気持ちで見ていた。
「穂希ちゃん、あなたにしか出来ない。“くれない様”から解放されるためには、あなたが殺すのよ!」
と、米子さんが私を見た。
そんな米子さんに、
「やめてください! 穂希にはそんなこと、させられない!」
と、お父さんが大声を出す。
「そうよ! どうしてうちの子がそんなつらいことを背負わなくちゃいけないの!」
お母さんも泣きながら米子さんに突っかかる。