「そんな危険な真似!」
と、お母さんが真っ青な顔をしている。



「祠に閉じ込めたところで、また目覚めるってことだってあり得るだろう?」
と、村井のおじさんが思案顔で言う。



「だから、祠に閉じ込めたあと、その祠を壊すの」
と、私は言った。



「“くれない様”の居場所をなくそうと思っているんです」



私の宣言に、
「賛成出来ないよ」
と言い出したのは、原西のおばあちゃんだった。



「また目覚める可能性を、どうして残すんだい? 居場所をなくしたところで、“くれない様”が消滅するわけでもないんだろう?」

「原西さん……」
と、おばあちゃんが原西のおばあちゃんを見る。



「息子の隆志みたいに、また誰かが死ぬことになるんだ」

「……」



「だったら、殺せばいい」



原西のおばあちゃんの言葉が、本堂に響く。



「憑かれた人間ごと殺せば、“くれない様”も殺せるんだろう!?」