「残念ながら、自死したそうよ」
と、米子さんは私を見た。



「取り憑かれたことによって、その人の何かが壊れたのかもしれないわね」



(……!)



他の人達も、しんっと黙った。




沈黙を破ったのはまた、先ほどの野次を飛ばした男性だった。



「……そんなの、想像でしかないじゃないか」

「静かに聞きましょうよ、私達は何もわかっていないんだから」
と、村井のおじさんが言う。



「……“くれない様”になる前、彼女の名前は黛 夕子でした」

「黛!? 米子さん、あんた、確か……」
と、おばあちゃんが反応した。



「そうです。黛 夕子は私にとって先祖です」



大人達がざわめく。



「あんたの先祖が!」

「迷惑な話だと思ったら、あんたの先祖なんだな?」



大人達がトゲトゲしい言葉で、米子さんを攻撃する。

米子さんはそれを真正面から受け止めるみたいに、黙って聞いていた。