「そんなの……、知らねぇーよ」

「だったら黙って聞いてください」

「何!? 偉そうに!!」



男性が立ち上がって血走った目で米子さんを見る。

それを村井のおじさんが止めた。



「今は米子さんの話を聞きましょうよ。村のためになるかもしれないんだ、落ち着いて」



村井のおじさんを少し睨んでから、男性は座り直した。



「……結論から言います」
と、米子さんは前置きして、村人達を見た。



「“くれない様”から逃げ切るには、憑かれている人間ごと殺害するか、祠に閉じ込め火を灯すか……、そういうふうに祖父は書いています」

「……!」



どよめく。

みんな、米子さんをまじまじと見ている。



「な、なんで、そんなことがわかるんですか?」
と、お父さんが聞いた。



「“くれない様”が目覚めたら、もう終わり。そんなふうにしか、僕たちだって知らないのに」