「家系……」

「単刀直入に言うわ。ショックは受けないでね。米ちゃん、私から話すわよ」



庵主さんは米子さんに確認を取ってから、変わらないのんびりした口調でこう言った。






「あなた、大橋 寛一の子孫なのよ」







「えっ?」



大橋 寛一?

黛 夕子を殺そうとした、あの地主の?



「詳しく言うとね、大橋 寛一の次男、大橋 寛次(おおはし かんじ)の子孫なの」

「次男? 大橋 寛太郎に弟がいたんですか?」



庵主さんは頷き、
「そうよ。大橋 寛次はね、寛太郎の四つ下の弟なの。寛太郎が殺された後、トキ子と結婚している」
と、淡々と話す。



「トキ子?」

「この名前を覚えていないかしら。知っている存在のはずよ」
と、米子さんが口を挟む。



「寛太郎と婚約していた、村の娘よ。花村 トキ子」

「!!」



そうだ。

花村 トキ子は、寛太郎の婚約者で。

そのことを知った黛 夕子が激怒し、寛太郎を殺害してしまう。