泣いたあとの頬は、涙が乾燥したせいなのか、ヒリヒリ痛む。

夕暮れの風が冷たくて。

余計に頬が痛む。



村のそばの山を眺めて。

私は琳音のことを考えていた。



『泣かなくても大丈夫だよ、そばにいるから』



琳音がくれた言葉を思い出す。



(殺すなんて出来ない)



あの子は。

私の希望だから。






……目の前が揺らぐ。

また泣いてしまった。




(そばにいてよ)



涙を拳で拭う。



(琳音……、琳音がそばにいないと私、泣いてばっかりいるよ)



俯いて。

ギュッと目をつむる。



琳音はもっと怖い思いをしているんだ。

米子さんはあんなふうに言っていたけれど。

私は、琳音を助ける。

必ず。






目を開けると。

村の景色が。

真っ赤だった。






(……この赤さ!)



夕暮れの赤さじゃない!!




空を見上げた。

真っ赤な輪を持つ、赤い月が見える……!