「そうよ」
「えっ?」
「小学生の男の子達が死亡したからよ」
「亡くなったことは聞きましたけれど、それはどういうことですか?」
「“くれない様”を目覚めさせた直後、ひとりはショック死している。もうひとりは“くれない様”の問いかけに答えず、自宅に逃げ帰ったけれど」
「……?」
「心が壊れて、自分で自分を殺した」
「!!」
「“くれない様”は取り憑かないと何も出来ない。さっきあなたが言った通りにね。あの時、“くれない様”はふたりに取り憑けなかった」
「……!!」
(だから、今回のように村で事件が起きていないんだ!)
「取り憑く体がなければ、“くれない様”は何も出来ないから。祠にまた戻って、次の獲物を待つのよ」
米子さんは私をまっすぐ見た。
「その獲物があなたと琳音ちゃん。わかるでしょう? あなた達が一番危なくて、でもあなた達が一番“くれない様”に近いのよ」
「……!」
「祖父の推測は、きっと正しい。でもそれを証明は出来ない。実行しない限りにはね」
「それを証明しなくちゃいけないんですか?」