「まっ、待って、米子さん」



居間から出て行こうとする米子さんを、私はその腕を掴んで引き止めた。



「もうひとつ、方法が書いてありましたよね? た、確か、祠に閉じ込め火を灯すって!」

「……」

「そっちじゃダメなんですか!?」



米子さんは俯いた。



「あなたには申し訳ないけれど」
と、米子さんは前置きして、こう言った。



「確実に逃げ切るには、殺すべきだと思う。閉じ込めるってことは、“くれない様”はまた目覚める可能性が出てくる」

「そんな……っ!」



米子さんはため息を吐いて、
「これは祖父の推測でしかないのよ」
と、紙切れをもう一度掴み、私に見せる。



「誰もやったことがないの。何故だかわかる? “くれない様”から逃げた人間がいないからよ」

「で、でも! 私の前に目覚めせた小学生の男の子達がいたはずです! その子達の事件から今まで、“くれない様”は祠にいた!」