【憑かれた人間ごと殺害するか、祠に閉じ込め火を灯す】
走り書きのような文字。
私はそれを読んで、さっきまでの楽になった気持ちがどこかへ飛んでいったのを感じた。
「さ、殺害……」
思わず呟くと、米子さんは言った。
「あなたならやれるはずよ」
「そんな……! で、出来ません!」
「『出来ない』じゃないの、『やる』のよ」
米子さんはピシャリと言った。
「そうじゃないと“くれない様”に殺されるのは、穂希ちゃん、あなたよ」
「め……、めちゃくちゃじゃないですかっ! だって! 琳音を殺すってことでしょう!?」
「何度も言わせないで。あなたにしか出来ないんだから」
「どうして、私なんですかっ!」
「“くれない様”から逃げることが出来たからよ!! それも二度もね!!」
困って。
涙が出てきた。
「……そんなの、理由にしないでください……」