米子さんが手をあごに当てて、考える。
「それが、村への復讐だって思うの?」
「はい。今、“くれない様”は琳音の体に取り憑いています。でもそれもよく考えると、不思議なんです」
「何が?」
「あの時、琳音は言葉を返したから。だから取り憑かれたんだって、納得していたけれど。琳音の願いを叶えるだけでも、“くれない様”は誰かに取り憑かないと、何も出来ないのかもしれないって」
「!」
「琳音の体がなくても私を呪い殺せるなら、まず私を殺せば良かったのに。わざわざ琳音の体に取り憑いた」
「そうね。それはあなたを殺すことに必要だから、琳音ちゃんに取り憑いたんだよね?」
「……そうなんです。もしも必要じゃなければ、わざわざ琳音に取り憑きません」
「うん」
「私なら、呪い殺す相手に取り憑いて、死なせたほうが早いと考えます」
「……っ」
「でも、“くれない様”はそれが出来ないのかもしれない」
「……」