「黛 夕子は息子さんを産んだあと、この村に帰る決意をしますよね? 金銭的に苦しくなったからって、この村では殺人を犯して恨みを買って、殺されかけているのに……、どうして戻ろうなんて思ったんだろう?」

「……夕子は考えたんだと思う、大橋 寛一や、夕子の命を売った家族からお金をゆすろうって」

「えっ!?」



米子さんは私から視線をそらして続ける。



「自分を殺そうとした大橋 寛一達を脅すことなんて、彼女には朝飯前だったのかもしれない」

「そんなことって……」



私は言葉が出なくなる。



「穂希ちゃん、あなたわかっている?」

「えっ?」

「大きな謎を見落としているのよ、あなた」

「えっ!?」



米子さんはそのまま台所へ行き、
「紅茶でも飲む?」
と、お湯を沸かしてくれた。



ティーカップを持って居間に戻って来た米子さんに、私は焦る気持ちで質問する。