(これって、“くれない様”と関係ある!?)



いや、そうとしか考えられない。



慌てて、その話の載っている短編集を図書館で探した。

幸い、文学の本棚ですぐに見つけられた。



興奮からか、震える手で。

私は【あなたくれない】を読む。





ーーー主人公はある村に住む、まだ幼い女の子。

迷子になった林の中で、物欲の塊の妖怪に出会う。



妖怪は女の子に、昔語りを始める。



もともと、妖怪は美しい娘だった。

しかし想い人から裏切られ、許せなくなり、彼女は想い人を殺してしまう。

村人が結託し、彼女の家に火を放つが、彼女は命からがら逃げ出す。



しばらく他所で、彼女は男性と共に暮らす。

しかし彼女は浮気を繰り返し、男性は彼女から離れていった。

そんな時、彼女は身ごもり、息子を出産。



三十三歳の時、金銭的に苦しくなり、八歳になる息子を連れて村へ帰る決意をした彼女は、村への帰り道で再会した実の弟を脅し、金を奪おうとする。