どういうことだろう?
「“くれない様”の弱点は、火なんですか?」
「……きっとね。だから祠にはろうそくを灯しているんだと思う。その火を越えて、彼女はこちらの世界に出てこられないようにね」
でも。
それならスマートフォンは、どういうことだろう?
火と関係あるっけ?
「……?」
「考えてみなさい」
「……明かり……?」
ふと思った。
“くれない様”は明るい太陽の空の下には出てこない。
いつだって。
赤い輪を持つ、真っ赤な月が出ている、暗い空の下。
スマートフォンは、画面が明るくなるように光る。
火だって、明るく灯してくれる。
「光とか、明かりが嫌なんでしょうか?」
米子さんは私を見つめて、
「あなたのところへ彼女がやって来た時、それを頼りに逃げて」
と、ハッキリ言った。