私の呟きに、駿翔くんも私のスマートフォンの画面をのぞく。
【飾るよ 飾るよ
夕焼けの前で
暗がりの中を
灯すから
みなでゆくぞ
お前くれない】
「……【くれない】!?」
私と駿翔くんがほぼ同時に驚きの声を出した。
車内の注目を浴びて、頭を下げる。
「穂希、これって……!」
「うん。そういうことだと思う!」
【お前】は【くれない】。
ーーー黛 夕子は、“くれない様”だ。
「事件が起こって、殺害して、“くれない様”にしたってこと!?」
そう言いつつ、米子さんの言葉をまた思い出した。
『唄は真実』
『唄は嘘を言わない』
“くれない様”が、黛 夕子だって。
米子さんはあの時から。
教えてくれていたんだ。
「“くれない様”は怒っているから、目覚めさせちゃいけないって、昔から言われていたんだろ?」
「うん。おばあちゃんにも、お母さんにも、そう言われて育った」