「これって、地主の大橋 寛一目線じゃない?」
「……そっか。これは……、この歌詞は、黛 夕子殺人事件のことを歌ってるってこと!?」
駿翔くんは「多分」と、頷く。
「返してほしいのは、息子の寛太郎のことで、この【お前】は黛 夕子のことじゃない?」
「……っ!!」
背筋からゾッとしたものが襲ってくる。
……バスがやって来て、私達はそれに乗り込む。
座席に座って。
私はスマートフォンで、駿翔くんの送ってくれた歌詞の続きを読む。
【帰るよ 帰るよ
夕焼けの終わり
暗がりの中を
口を閉じて
みなでゆくぞ
お前はいない】
わらべ唄の二番の歌詞で。
黛 夕子を指す【お前】は、【いない】と歌われている。
殺害した後のことを歌った歌詞なのかな?
【暗がりの中を 口を閉じて】、【帰るよ 帰るよ】と言っているのは、大橋 寛一と村人達なんだ。
「……事件と、その後のこと。じゃあ、三番は?」