怒りがおさまらない夕子は。
寛太郎を大橋家の所有する蔵に閉じ込め、火を放った。
大橋 寛太郎は十八歳の若さでこの世を去る。
「……でもこの間見た時、黛 夕子も焼死って書いてなかったっけ?」
と、駿翔くんが私を見る。
「そうだよ、ほら。ここを見て」
それは私も覚えていたので、ページをめくってその箇所を見せる。
確かに、【黛 夕子、のちに焼死】と書いてある。
「どういうことだろう?」
「わからない。続きに何か書いてない?」
駿くんがページをめくる。
「!!」
私達は目を疑った。
そこに書かれていたのは、私達にとって馴染みのあるあの唄だった。
【返せよ 返せよ
夕焼けの向こう
暗がりの中を
駆けてゆけ
みなでゆくぞ
お前のところ】
「村で伝わってる、あのわらべ唄じゃん……」
「黛 夕子とこの唄、関係があるの!?」