図書館に着いた。
私達は迷うことなく、黛 圭一の本を二冊とも持って。
読書室に直行した。
駿翔くんが一冊目、私が二冊目の目次をざっと見る。
やっぱり“くれない様”の文字はない。
「私達の前に“くれない様”を目覚めさせた小学生の男の子達がいたって、おばあちゃんが言っていたけれど」
小声で駿翔くんに話しかける。
「えっ、それっていつ? 載ってないかな?」
「おばあちゃんが結婚してすぐって言ってた。お母さんが生まれる前って言っていたから……、四十五年より前ってこと。おばあちゃんが結婚した年齢は二十三歳だから……、四十五年〜四十七年前の間かな」
「ってことは、四十七年前として。2023年から引いたら……、1976年ってことか」
私達は目次のページの年表を見て確認する。
「……ダメだ。この本、1960年以降のことは書いてないよ」
「本当だ。最後の事件が1960年だ」