答えてはいけなかったんだ。
あの言葉に。
返事をしては、いけなかった。
だけど、琳音は言葉を返した。
だから捕まった。
取り憑かれてしまった理由は、それかもしれない。
「琳音……、どうなるんですか?」
駿翔くんが心配そうに米子さんに尋ねる。
「わからない。その子は……、もう諦めたほうがいいかもしれない」
「!!」
「そ、そんな! 諦めるなんて出来ませんっ」
私が強い口調で言うと、
「あなたを呪った相手なのに?」
と、米子さんは言った。
「その子がくれない様に憑かれているなら、もう帰ってこないと思ったほうがいい。時間だって経っているから、その子自身の体力だって限界にきていると思う」
「琳音は、あたたかな手をしてました。生きているんですよね?」
涙声で、私は米子さんにすがるように言う。
米子さんは顔色ひとつ変えずに、
「取り憑かれた肉体だからあたたかい可能性もある」
と、容赦ない言葉を返してきた。