「……誰ー?」
と、米子さんの声。
「私です。光本 穂希です」
「川村 駿翔もいます」
と、駿翔くんも名乗った。
「駿翔……、知らないー。帰ってー」
と、米子さんが言うので、
「信用出来る人です。駿翔くんは大丈夫だからっ。私の友達です」
と、ドアを叩きつつ、伝える。
米子さんはしばらく黙って。
そして、ドアを開けてくれた。
現れた米子さんは。
いつものバサバサの髪の毛を、ひとつに束ねて。
いつもの風変わりな服装とは違い、白いセーターにデニムを着て、清潔感あふれる女性に見えた。
「……入って」
と、短く言う。
(あの時の、米子さんだ)
駿翔くんは不思議そうな顔を私に向けた。
私は頷いて、それから米子さんに話しかけた。
「米子さん、聞きたいことがたくさんあります」
私達が入ると、玄関のドアを閉めた上に鍵もかけた米子さん。
「聞きたいことって何?」
と、私をまっすぐ見る。