米子さんに言われた、事件の共通点がまだわからないまま。

すっかり肌寒い季節になった。

私はずっと学校に行っていない。



土曜日の午前中。

自室のベッドに腰掛けて、私は考えていた。



“くれない様”は。

琳音に取り憑いている。



あの時。

私達が走って逃げた時。



“くれない様”が捕まえたのは、琳音だった。



なぜだったんだろう?




私のほうが足が遅い。

回り道をして。

“くれない様”からも近い位置にいた。



だけど。

捕まったのは。

琳音だった。






そもそも呪いをかけられたのは、私なのに。

殺される理由があるのは、私なのに。




(“くれない様”は言っていた。私が似ているって……)




誰に?

そのおかげで、私は捕まえられなかった?



でもそれだと矛盾してくる。

“くれない様”は、今は私を捕まえようとしているんだもん。

そして殺そうとしている。



「何か……、何かがあるはず」



スマートフォンが振動した。

見ると、駿翔くんからの着信だった。