「おじさんっ!!!」





私はおじさんに走り寄った。

おじさんは顔色が悪く、首元に手を当てている。

苦しそうに。

歪んだ表情をしたまま。




「死んでいる。もう死んでいるんだよー」



米子さんは私のそばに来た。



「♪帰るよ 帰るよ

夕焼けの終わり

暗がりの中を……♪」



米子さんが口づさむ。



「こんな時に、よく歌えたもんだね」
と、おばあちゃんが眉間にシワを寄せる。



「唄は嘘言わない。唄は真実なんだよー」

「と、とにかく!! きゅ、救急車!! それか、警察!!」



お母さんが慌てて、家に戻る。




「これって、“くれない様”の仕業?」



誰に言うでもなく呟くと、
「現象が出てた。現象が出たら、やって来るんだよー」
と、米子さんが言った。



「でも、なんで原西のおじさんを!?」



涙が出て来た。

おばあちゃんが、
「泣くんじゃないっ」
と、厳しい声を出し、私を見た。