庭に干していた洗濯物を取り込んでいたお母さんが、
「大変っ!」
と、叫んで、リビングに駆け込んで来た。
台所にいたおばあちゃんも驚いて、リビングにやって来る。
「奈緒子、どうしたんだい!?」
お母さんは空を指差して、
「ほ、穂希は!? 穂希はどこ!?」
と、私を探すように部屋を見回した。
「ここにいるよ」
と、リビングのソファーから立ち上がると、
「あぁ、穂希! 家に居るのよ!!」
お母さんはそう言って、窓の鍵を閉める。
「奈緒子?」
と、おばあちゃんがお母さんに近づくと、
「現象が起きているの!」
と、お母さんは青冷めた顔で伝えた。
「っ!!」
部屋の中から窓の外を見ると、確かに赤い輪を持つ、真っ赤な月が浮かんでいる。
おばあちゃんとお母さんが家中のドアや窓の戸締りをして、リビングに戻って来た。
「……穂希、お母さん達がそばにいるからね」
「“くれない様”が来たら、何をおいても逃げるんだよ!」
三人で固まって、リビングの真ん中にいると。
……ピンポーン。
玄関のインターホンが鳴る。
「!?」