「……あぁ、琳音!」
と、琳音のおじいちゃんが俯く。
「えっ? な、何?」
私は訳がわからない。
琳音は生きている。
嬉しいことのはずなのに。
「……須浜さん、気持ちをしっかり持つんだよ」
と、おばあちゃんが声をかけていた。
「何?」
と、もう一度聞くと、
「穂希、琳音ちゃんは取り憑かれているんだ」
と、おばあちゃんは静かに言った。
それは、何となくそうだとは思っていたけれど……。
でも、生きているのに。
私の納得いかない顔を見て、おばあちゃんは続けた。
「“くれない様”に取り憑かれた人間が、そのまま生きて戻って来られるか、確証はないってことだ」
琳音のお母さんの目から大粒の涙がこぼれる。
「……覚悟したほうがいいってことだよ」
おばあちゃんはそう言って、俯いた。
(そんな……!)
琳音が生きていると思って。
希望の光が見えた気がしていたのに!
次の土曜日のことだった。
お昼を過ぎて。
雨が降ってきた。