「欲しいものは、手に入れる……」
“くれない様”の両手の力が、緩くなった。
その瞬間を見逃さず、私は“くれない様”の両手を振りほどく。
“くれない様”はそんな私に、悲しい目を向ける。
「どうして?」
と、涙を浮かべる“くれない様”。
「どうして嫌がるの? あなたが欲しいって、あなたがいいって言っているだけなのに」
「り、琳音を返して!」
「この子は私のものだって言ったじゃない……! だって返事をしたんだもの」
「……っ!」
手足に不快感を覚える。
汗でベトベトになっている。
「返事をした……、私のものなんだ! あなたには渡さない……!」
“くれない様”の両手が、私に伸びてきた。
「!!」
避けようとして、地面に倒れてしまった。
“くれない様”も体勢を崩して、私と同じように倒れている。
だけどすぐに起き上がり、私に襲いかかってきた。
「うっ……!」
首に圧迫感を感じ、両手で押さえつけられているとわかる。