その人は、笑っている。
にっこりと。
私に向かって。
赤い輪を持つ、真っ赤な月に照らされながら。
「り、琳音じゃない……」
思わず呟くと。
その人は嬉しそうに私の手をとった。
「ひっ!」
「くれるでしょう? ねぇ、あなたがいい」
「!?」
その人は私の手をぎゅっと両手で握る。
「あなたを探していた。あなたは似ているから」
「!?」
「あはっ! あはははっ!!」
(似ている? どういうこと!?)
その人が両手に力をこめる。
「痛っ!」
握られた手が痛い。
(すごい力……!)
「は、離して……!」
私の目には涙が溢れてくる。
「どうして?」
と、その人はまだぼんやりした瞳で、私を見ている。
「どうして嫌がるの? なんでそんな顔をするの?」
「?」