(ごめん、ごめんね……)



私と琳音が“くれない様”を目覚めさせなければ。

きっと光くんは生きていた。

……笹川のおばあちゃんだって。



ふたりとも怖い思いをしたよね?

ごめんなさい……。



胸が押し潰されそうな罪悪感に。

私は息が苦しくなる。




バギーを押した女性はそんな私には気づかず、唄を歌っていた。



「♪返せよ 返せよ

夕焼けの向こう

暗がりの中を

駆けてゆけ……♪」



子守唄として子どもに歌っているんだ、と思った。

物哀しいメロディーが、胸の奥を刺激する。



(……米子さん、この唄は三番まであるって言ってた……)



遠くなる歌声を聴きつつ、米子さんがあの日、私を訪ねて来た理由を知らなくちゃ、と思った。






雑木林。

川のそばの出入り口から一本道を歩いて。

私は洞窟を目指す。



この道のどこかで。

琳音がいたら。

琳音を見つけられたら。

……そう思って、一歩、一歩と進む。