そしてその表情を崩すことなく、いつものトーンで言った。



「お返しだよ。キスの仕返し」



哀の唇が触れた右頬を右手で押さえながら、哀を見上げる。



あれ……?



哀、顔赤くない?



ほんの少しだけど、耳の先と頬が赤い気がする。



もしかして、キスした側の哀も照れてる……とか?



「あははっ!!」



「なんだよ」



「ううん、何もない!」



キスした側が照れてどうすんだ。



恥ずかしそうにそっぽ向いた哀が可愛いというか、なんだか愛おしさが込み上げて私は無邪気に笑った。