もう一度教室の中の壁にもたれかかってもらって、私は急いで空き教室を出た。



「紫乃」



「はへっ!?」



全力で走り出してしまったから、振り返った時に滑って体が宙に浮いた。



そのまま重力に逆らえずに、私の体がビタンっと叩かれた。



「いったぁい……というかなんで哀と理子が居るの?」



哀の私を呼ぶ声は聞こえたけど、理子がいるところまで分かんなかった。



理子は爆笑していて、哀は私の転けた姿を見て笑いをこらえている。



「そ、それがさ?寧音くんといきなり二人なんて気まずいかなーって思って……隣の部屋でご飯食べて盗み聞きしてたんだぁ」



へへへっ、と苦笑いをしながら頭の後ろに手をやっている理子に私も苦笑い。