普通に私が知らなかっただけって言うのが、ちょっと失礼な気がして恥ずかしい。



「安達くん、名前知らなくてごめんなさい」



「いや知らないのは当然です。僕は何者でも無いので。あと名前呼びで大丈夫ですよ」



な、なんていい人なんだこの人……!


笑顔が素敵すぎて裏があるんじゃないかって疑っちゃうなぁ。


私がぶつかったのにこんなに優しいとか……神様みたい。



「寧音くんありがとう!」



「ううん、僕は全然。あとさ……」



「はい?」



寧音くんが去るとき、私にだけ聞こえる声で呟いた。