キスシーンは恥ずかしくなって見てられなかった。



だけど、だけど……。



「いいなぁ……」



私の本音がまたひとつ零れた。



あんな風に抱きしめられたり、触れられたり……、き、キスしたり。



そんなことが恋人なら当たり前になるのに。



じわりと滲んだ涙。



「やば……」



すぐに左手の甲で目もとを抑えたけど、涙は勝手に溢れてくる。



いつか哀とああなるのは私じゃない。



私が告白したところでそうはならない。



「なにやってんの」



「ひゃ……」



後ろから哀の声がして、小さい悲鳴をあげそうになったけど哀の手で口元を塞がれた。