なんで、そんなふうに泣いてるの……?



「どうしたの……?」



「ずるいよ……紫乃ちゃん。っ……!桜はこれ以上近づけないっていうのにっ!」



涙を両手で拭いながら、私を最後に睨んだあと、背中を向けて走り去って行った。



「ま、待って!桜さん!」



手を伸ばして叫ぶけど、桜さんは振り返らない。



それどころか走るスピードをあげるだけで、私とのど距離がどんどん空いて行った。



呆然と立ち尽くす私に、誰も話しかけてはくれない。



伸ばした手をさげて、手を握る。