「じゃあ先入ってる」



「うん」



二人の背中が見えなくなるまで見送ろうとして、私は二人が歩いていく背中に向けて手を振る。



すると桜さんが振り向いた。



ふふっ、と笑ったら桜さんは、私をキッと睨んできたの。



歩幅が大きい立花くんと歩幅が小さい桜さんとじゃ、間の空間が結構空いていた。



立花くんの背中をぽんぽんと叩いた桜さんが、立花くんに何かを言って、なぜか哀の家に逆戻りしてきた。



小走りで私の元にやってくると、さっきとは違う少し低めの声を出した。